2024年 新年のご挨拶
この度の令和6年能登半島地震により被害を受けられた皆様に対しまして、心よりお見舞い申し上げますと共に、皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
さて、3年以上続いたコロナ禍がようやく収束に向かい始めた昨年。街に人流が戻り、コロナ禍で大きな打撃を受けた宿泊業態に活況が戻りつつあるなか、レジャーホテル業界だけは取り残されてしまっているという印象を受けます。
レジャーホテルの成長戦略として今後求められるのは、「何に投資をすべきか」という考え方です。
レジャーホテルで「投資」といえば、ハードに対する「設備投資」を思い浮かべる経営者の方が多いと思います。私が業界に参入した当初、設備投資に関して「リニューアルごとに収益が回復する」というある種の方程式が存在しました。この方程式の背景にあるのは、「レジャーホテルは設備投資ありきの装置産業」だとする旧来の価値観ですが、それが現在では通用しなくなっているのです。
これまでレジャーホテル業界では「モノ」と「金」が最優先され、「人」の部分は軽視される傾向が続いていました。
ただ、いまはお客さまのほうがサービスに対してよりシビアになっています。いま、業界に必要なのは、装置産業から脱却するための「人材への投資」であり、今年2024年は、サービス業に転換できる最後のチャンスなのではないかと、私は考えます。
私の若き頃「商売=経済学」と教わりました。しかし昨今、アパホテルのようにわずか11㎡の客室に幅1400mmのダブルベッドにもかかわらず、安心・安全なサービスを提供することで来店数の10%にもなるデイユース(休憩)を集客し、成功しているビジネスモデルをみて、現在は「商売=心理学」なのだと強く感じています。
このことは、人材の確保・育成にもあてはまります。自ホテルのスタッフが、現場で働くうえでどのような問題や悩みごと、さらに要望をもっているのか、その心理をしっかりと読み解くことが重要です。
長年、業界で実績を積まれた経営者の場合、過去の成功体験による価値観を捨て去ることはむずかしいかもしれません。よく「コップの水が常にいっぱいだと、新たな水を注ぎ入れることはできない」といわれます。
私たちレジャーホテル経営者も、過去の経験則に基づいた経営ノウハウでコップがいっぱいになっているわけです。そうしたコップの水を少しでも捨て去る勇気をもつことも大切なのではないでしょうか。
マーケットは今後さらに大きく変化し、さまざまな厳しい状況も生まれるでしょう。それに対して、レジャーホテル業界全体が固定概念から脱却し、新たな学びを実践すべきときを迎えています。
2024年は、まさにそうした学びのスタートの年にしたいと考えています。
先ごろ策定した「Vision3000 組織変革構想書」に基づいた全国6ブロックの新体制が、すでに活動を進めています。
各地域の細かな課題・お困りごとをより丁寧に拾い上げることが可能となり、それらを解決するための努力を通して、会員同士につながりが生まれ、活性化が図られています。つながることでのスケールメリットも生まれ、小規模事業者の経営環境を改善するためのサポートが図られることになります。
事業の本質は「高収益の追求」ではなく、「永続経営」にあるはずです。そのために求められるのが、経営者の自己成長です。自己成長がなければ企業の永続経営はあり得ません。日本レジャーホテル協会は、そうした自己成長の場であり、それこそが協会の存在意義だと強く認識しています。
最後に、皆様におかれましては、本年も引き続き当協会へのご理解とご協力を賜り、共に力を合わせて協会活動に取組んでいただきますようこころよりお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
2024年1月
一般社団法人 日本レジャーホテル協会
会長 清水 祐侍